2020年秋、予想を超えるスマッシュ・ヒットを飛ばし、コロナ禍で遠ざかっていた中高年層を「ベルモンドが映画館に呼び戻した!」と話題になり、それまでベルモンドを知らなかったミレニアル世代をも虜にして日本中の映画館を熱くした「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」、待望の第2弾をお届けします。
全国の公開劇場では上映全8作品をコンプリートした熱心な観客の方々から「もっとこんな作品も観たい!」「どうして○○は上映されないのか?」といった声が多数寄せられたことから、去る11/20(金)から12/13(日)の間、東京はじめ「傑作選」上映中の名古屋・関西の4劇場にて「次に観たいベルモンド出演作」を募る“ベルモンド映画総選挙”を実施し、その投票結果を元に最強のベルモンド映画5作品を取り揃えました。いずれもHDリマスターの高画質、さらに松浦美奈さんによる完全新訳による日本語字幕版での上映となります。
第1位 | リオの男 | 154票 |
第2位 | ボルサリーノ | 125票 |
第3位 | 華麗なる大泥棒 | 106票 |
第4位 | カトマンズの男 | 102票 |
第5位 | おかしなおかしな 大冒険 |
99票 |
第6位 | 勝手にしやがれ | 76票 |
第7位 | パリは 燃えているか |
69票 |
第8位 | 007/カジノ・ ロワイヤル |
66票 |
第9位 | 相続人 | 65票 |
第10位 | 気狂いピエロ | 61票 |
第10位 | ラ・スクムーン | 61票 |
知名度の高い作品が多くの票を集める中、ド・ブロカ監督作の人気は根強く、特に『リオの男』は圧勝でした。『ボルサリーノ』の2位はアラン・ドロンとの2大スター共演による認知度の高さで予想以上に票が伸びたのだと思います。3位のアンリ・ベルヌイユ監督による国際的超大作『華麗なる大泥棒』、4位の『カトマンズの男』、5位の『おかしなおかしな大冒険』という、ド・ブロカ作品は納得の順位。6位に『勝手にしやがれ』、10位に『気狂いピエロ』とゴダール作品もランクイン。やはり、ヌーヴェルヴァーグのベルモンドが好きというファンの多さが伺えます。7位の『パリは燃えているか』、8位の『007/カジノ・ロワイヤル』は、ベルモンド主演作ではありませんが、これらの名作をスクリーンで見たいと望む映画ファンの気持ちの表れでしょう。9位『相続人』、10位『ラ・スクムーン』の投票には「あのカッコいいベルモンドをもう一度見たい!」という思いが伝わってきます。惜しくもベストテンには入りませんでしたが、次点の『パリ警視J』、『薔薇のスタビスキー』、『怪盗二十面相』、『レ・ミゼラブル』も多くの票を獲得しました。
この結果を受け、「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選2」ではド・ブロカ監督による決定的代表作2本『リオの男』、『カトマンズの男』の上映をまず決定し、特別プレミア上映としてベルモンドとド・ブロカ監督が『リオの男』へのノスタルジーとセルフオマージュも込めて再びアマゾンを舞台に冒険を繰り広げた、日本初公開となる『アマゾンの男』をプログラムしました。さらにベストテンからもう1本、一度もディスク化されていない幻の傑作『相続人』を上映。ベストテン圏外でしたが、スペシャル・セレクションとして、第1弾上映作品の中でも特に好評を得た『大頭脳』のジェラール・ウーリー監督作で、第二次世界大戦開戦直前のナチス政権下でのベルリン・オリンピックを背景にした傑作冒険大活劇『エースの中のエース』を劇場初公開します。
ベストテン内の『ボルサリーノ』、『勝手にしやがれ』、『気狂いピエロ』に関しては、これまでにも何度かリバイバル公開されており、ディスクも既発売であることから除外しました。また、『華麗なる大泥棒』、『おかしなおかしな大冒険』については残念ながら今回は上映権の取得ができませんでしたが、これらの作品も含め、第3弾開催時での上映を実現すべく交渉を続けていく予定です。引続き「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」にご期待下さい!
1942年3月21日、フランスのパリで俳優のモーリス・ドルレアックと女優のルネ・シモノの長女として生まれる。妹はカトリーヌ・ドヌーヴ。10歳の頃から舞台に立ち、コンセルヴァトワールで演技を学んだ後、60年に『山小屋の娘』で映画デビュー。その後、ベルモンドと共演した『リオの男』(64)とフランソワ・トリュフォー監督の『柔らかい肌』(64)への出演で人気女優となった。『ジンギス・カン』(65)、『スパイがいっぱい』(66),『袋小路』(66)、『10億ドルの頭脳』(67)などメジャー・スタジオの大作や有名監督の話題作に次々と出演、ジャック・ドゥミ監督の『ロシュフォールの恋人たち』(66)では妹のカトリーヌと共演して注目を集めた。まさに国際的なスターとしての階段を一気に駆け上がっていた1967年6月26日、ニース空港へ向かう道路で運転する車がスリップを起こして炎上、25歳の若さで世を去った。
1936年3月19日、スイスのベルン生まれ。両親はドイツ人。17歳のとき、ローマへの旅行中にスカウトされ、“UN AMERICANO A ROMA”(54)など数本のイタリア映画に出演。その後、ハリウッドに招かれるも数年間は役を得られなかったが、57年に俳優のジョン・デレクと結婚。62年に007シリーズの第1作『007 ドクター・ノオ』で初代ボンドガールに抜擢されて一躍スターとなった。65年に『カトマンズの男』でベルモンドと共演して恋に落ちるとジョン・デレクとは離婚し、数年間をベルモンドと過ごした。ベルモンドとは『007 カジノロワイヤル』(67)でも共演している。主な出演作には他に『テキサスの四人』(63)、『アカプルコの海』(63)、『炎の女』(65)、『何かいいことないか子猫チャン』(65)、『華麗なる殺人』(65)、『ブルー・マックス』(66)、『サファリ大追跡』(69) 、『レッド・サン』(71)、『タイタンの戦い』(81)などがある。
1941年8月5日、イタリアのフリウリ=ヴァネツィア・ジュリア州ウーディネ県生まれ。12歳のときに『芽ばえ』(57)の脇役で映画デビュー。59年、カルロ・リッツァーニ監督の『白い道』の演技でベネチア映画祭スペシャル・メンションを受賞するなど、イタリア映画界注目の女優となって『五人の札つき娘』(60)でハリウッド映画にも進出した。その後もイタリア映画とフランス映画を中心に数多くの作品に出演している。フィリップ・ラブロ監督作には『刑事キャレラ/10+1の追撃』(72)と『相続人』(73)の2作に出演。主な出演作には他に『群盗荒野を裂く』(67)、『ミラノの銀行強盗』(68)、『ロザリオの悲しみ』(69)、『アルフレード アルフレード』(72)、『ビッグ・ガン』(72)、『レディ・イポリタの恋人/夢魔』(74)、『マイ・ラブ』(74)、『ブーメランのように』(76)などがある。
1949年7月21日、ドイツのミュンヘン生まれ。コンセルヴァトワール在学中にフィリップ・ラブロ監督に見出され、72年に『相続人』で映画デビューを果たす。その後、『マルセイユ特急』(74)、『愛と追憶のセレナーデ/幻影に揺れる汚れなき少女たち』(79・未)など、映画、テレビに数多く出演、82年にはジェリー・シャッツバーグ監督の『ウィンター・ローズ』(83)に出演後、監督と結婚。同監督の『リユニオン-再会-』(89)にも出演したが98年に離婚した。
1944年5月10日、フランス領インドシナ、現ヴェトナムのダラット生まれ。61年にフランソワ・トリュフォー監督に見出され、『二十歳の恋』のフランス篇『アントワーヌとコレット/二十歳の恋』でヒロインを演じて注目される。その後、ロベール・オッセン監督の『殺人者に墓はない』(64)、アラン・ロブ=グリエ監督の『ヨーロッパ横断特急』(66)などに出演、75年『さよならの微笑』と『フランスの思い出』、76年『バロッコ』の演技で、セザール賞最優秀助演女優賞を受賞。『真夜中の向う側』(77)でハリウッド進出も果たして国際的に活躍した。ベルモンドとは『追悼のメロディ』(76)と『エースの中のエース』(82)で共演している。出演作には他に『夜霧の恋人たち』(68)、『うたかたの日々』(68)、『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(74)、『逃げ去る恋』(78)、『フレンチグラフィティ』(79)、『ブロンテ姉妹』(79)、『華麗なる女銀行家』(80)、『ココ・シャネル』(81)、『見出された時-「失われた時を求めて』より-』(99)などがある。2011年4月24日死去。
1953年4月27日、アメリカのコネティカット州ハートフォード生まれ。幼くして母を亡くし、母方の祖父母の住むメキシコで育つ。73年にアレハンドロ・ホドロフスキー監督の『ホーリー・マウンテン』(73)に端役出演。76年にコンセルヴァトワールに入学して演技と歌を学び、78年にエリック・ロメール監督の『聖杯伝説』で本格的映画デビューを果たした。ロメール監督作にはその後も『美しき結婚』(81)や『海辺のポーリーヌ』(83)、『木と市長と文化会館/または七つの偶然』(92)などに出演、さらにロマン・ポランスキー監督の『テス』(79)、寺山修二監督の『上海異人娼館/チャイナ・ドール』(81)、ホセ・ルイス・ゲリン監督の『ベルタのモチーフ』(83)、アラン・ロブ=グリエ監督の『囚われの美女』(83)など、鬼才監督の作品に数多く出演。また、『レディ・ブルー/愛欲』(88)はじめ4本の長編劇映画、1本の長編ドキュメンタリーの監督作がある。2000年代以降は歌手として音楽活動を積極化させ、すでに16枚のアルバムをリリースしている。出演作には他に『ガーターベルトの夜』(84)、『ブロンドはお好き』(86)、『エリザとエリック』(87)、『レプスキー危機一発/ロシア皇帝の秘宝』(89)、『禁断のつぼみ』(89)、『季節のはざまで』(92)、『百一夜』(94)、『恋の力学』(95)、『倦怠』(98)、『宮廷料理人ヴァテール』(00)、『サガン -悲しみよ こんにちは-』(08)、『シャトーブリアンからの手紙』(11)などがある。
1933年3月15日、フランスのパリ生まれ。クロード・シャブロルやフランソワ・トリュフォーの監督作で助監督を務め、数本の短編やドキュメンタリーを撮った後、60年にジャン=ピエール・カッセル主演で初の長編“Les jeux de l’amour”を発表、61年にベルモンドと初めてコンビを組んだ『大盗賊』が大ヒットし、さらにベルモンド主演の『リオの男』(64)、『カトマンズの男』(65)を大成功させて自身の名とともにベルモンドをトップスターの座に押し上げた。風刺の効いた軽妙なコメディに定評があり、ベルモンド主演作の他、『まぼろしの市街戦』(67)や『君に愛の月影を』(70)などはカルト的な人気も高い。ベルモンド主演作はその他、『おかしなおかしな大冒険』(73)、『ベルモンドの怪盗二十面相』(75)、『アマゾンの男』(00)の全6作を監督した。監督作には他に『ピストン野郎』(64)、『彼女はジタン』(86)、『ソフィー・マルソーの愛、革命に生きて』(88) 、『陽だまりの庭で』(95) などがある。2004年11月27日死去。
1936年8月27日、フランスのモンタルバン生まれ。アメリカでジャーナリズムを学び、 帰国後ジャーナリストとして各紙に執筆、その後テレビ界に進出した。64年から66年にかけてテレビのドキュメンタリー・シリーズの演出を手がけ、69年にミステリー“Tout peut arriver”で長編映画を初監督。71年のエド・マクベイン原作の映画化『刑事キャレラ/10+1の追撃』は高い評価を受け、ベルモンド主演の『相続人』(73)が大ヒット、イヴ・モンタン、キャサリン・ロス主演の『潮騒』(74)と話題作を続けて発表した。ベルモンドと再び組んだ『危険を買う男』(76)も彼の代表作となった。監督作には他に『ザ・クライム/陰謀の罠』(83)、ジェラール・ドパルデュー主演の“Rive droite, rive gauche”(84)がある。85年から00年まではドイツのテレビ局RTLの福社長として番組編成を担当した。
1919年4月29日、フランスのパリ生まれ。コンセルヴァトワールで演技を学び、42年に“Les petits riens”で映画デビュー。『幸福の設計』(46)、『男の世界』(56)、『絶体絶命』(58)などに出演後、『両面の鏡』(58)、『バベット戦争へ行く』(59)、『彼奴を殺せ』(59)などの脚本を担当、59年の『熱い手』で監督デビューを果たした。ルイ・ド・フュネスとブールヴィルが主演のコメディ『大追跡』(65)が大ヒットし、続く『大進撃』(66) はさらなる大ヒットとなって08年までフランスにおける国産映画の興収トップの座を維持し続けた。ベルモンド主演作は『大頭脳』(69) と『エースの中のエース』(82)の2本を監督している。監督作には他に『大乱戦』(72)、『ニューヨーク←→パリ大冒険』(73)、『大迷惑』(87)などがある。2006年7月19日死去。